[例会案内]

2026年度9月例会

2026年度9月例会連絡書

下記のように9月例会を行いますのでお集まり下さい。

会長 牧野  縝

日時 2026 年9月 26 日(土)18:30〜20:30
場所 東京芸術劇場 ミーティングルーム5(池袋西口)
発表 会員研究発表(発表 20 分、質疑 10 分)

1. 髙橋麻子:スクリャービン ピアノソナタ第10番のアナリーゼから知覚する「光」と「歓 び」
〜独自のアナリーゼ方法とその可視化〜

2. 長谷川もも:音色に宿る「価値」考察
〜ヴァイオリニストが求める絶滅危機の弓素材, ペルナンブコの行く末について〜

3.鈴木千帆:「ショパン=クロイツァー版」の演奏実践と意義
〜バラード第4番作品52を 中心に〜

会費

お申込み
会員:無料/非会員(一般):2,000円/非会員(学生):1,000円

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お問い合わせは学会公式アドレスへお寄せください。
演奏表現学会公式アドレス contact@cempra.site

「要旨」

1. この発表は、アレクサンドル・スクリャービンのピアノソナタ第 10 番を独自の方法で分析することを通して、スクリャービンが厳格な原則に従い創造した作品が演奏者に求める表現 を研究するものである。さらにその結果を図形的に可視化することにより、スクリャービン の意図を裏付ける証拠を知覚し易くし、実際のピアノ演奏に役立つことを意図するものであ る。分析方法として、オリヴィエ・メシアンが提唱した移高の限られた旋法を用い、旋法の 区別を明らかにした。また、過去に行った第 6 番、第 7 番、第 9 番の研究結果と比較し、 後期ソナタ間の共通点や相違点について言及する。

2. 絶滅危惧種「ペルナンブコ」は,弦楽器の命と呼ばれる弓の素材として,数世紀にわたり 「権威」として使用されて続けてきた。ペルナンブコ材が世界で唯一生息するブラジルにお いて,政府は国際規制によって厳しく取引を取り締まっている現状がある。一方で科学的に 特性が類似するとされる代替材が提案されても,多くの演奏家はいまだ,ペルナンブコ材を 求め続けている。その理由はどこにあるのだろうか。そもそも,私たちはどのように音色の 「価値」を判断しているのだろうか。音色は定義しきれない曖昧な存在であると同時に,実 に学際的な対象である。音色の価値形成について多角的に考察し,私たちがペルナンブコ材 を求める理由を明らかにする。その意義は,ペルナンブコ材の価値には単なる「性能」のみ ならず,この木材に脈々と息づく歴史や文化が含まれるという視点を提示することである。

3. 巨匠レオニード・クロイツァー(1884-1953)は著書『芸術としてのピアノ演奏』の中で「演 奏家は独立したひとつの芸術家であるべき」と説いた。彼の教えが受け継がれ、日本の戦後 音楽界の演奏の藝術性を底上げされたことを先の発表(演奏表現学会 2023 年 9 月例会)で示唆した。 その教えの具現のひとつが「ショパン=クロイツァー版」である。クロイツァー版の最大の 特徴は、原典版のような客観性の追求ではなく、「いかにして演奏家が主観的に音楽の命を吹 き込むか」に特化した解釈版である点である。本発表ではクロイツァーの藝術理念に鑑み、 敢えてこの実用版に対峙し、「楽譜校訂(エディション)という行為そのものが演奏実践にど う直結するか」「演奏家は記譜の従属者ではなく、能動的に命を吹き込む存在であるべき」と いう彼の意図を汲み取り、ショパンの最高傑作のひとつとされるバラード第 4 番を中心に研 究したい。また原典版(エキエル版やパデレフスキ版など)との対照的な具体例を示し、解 釈版の意義を再考察するところまで踏み込めればと考える。

以上